機能の違う二つの脳【右脳と左脳】

右脳と左脳

右脳と左脳の役割は、それぞれ異なっています。その両方を一緒に機能させることにより、人間は大量の情報を要領よく処理して、柔軟に対処できるといわれています。

左右の脳の分業化は生きる知恵

人間の脳は大きく右と左に分けることができますが、それぞれには全く違う働きがあります。以下、「右脳」「左脳」と表記します。

右脳が目で見えるもの、空間を認識する力にかかわるのに対し、左脳は言語機能にかかわって、情報処理や論理的に物事を分析する働きを担っています。このような機能は、どちらも脳の頭頂連合野といわれる部分で最終的な情報処理がなされています。

右と左の脳の間には、「脳梁(のうりょう)」と呼ばれるものがあります。ここで、それぞれの2億本にも上る神経線維をつなぎ、情報をやりとりするのです。では、脳というのは、なぜ分業化がなされたのでしょうか。かような複雑なシステムが作られる必然性は、本当にあったのでしょうか。

下部の図をごらんになってください。視覚の神経回路を表しています。これを見れば、外界の「目で見えるもの」を三次元のものとして認識するために、左右両方の神経回路が必要となることがおわかりいただけるでしょうか。

右脳は、さながらカメラで写真を写すように、情報を一瞬にしてイメージとしてとらえます。その反応は、左脳による「分析」よりも速いので、例えば、自分に害を及ぼすような事物を認識したとき、そのものからの攻撃や、危害を加えられることを反射的に避けるためには、右脳の動きは欠かすことができないものです。

それが一体何なのかというような分析の作業は、ひとまず身の安全を確保してからで十分なのです。このように、脳の左右の連携というのは、動物が自分の身を守りながら生きていくのに必要だったため発達したのではないかと考えられます。

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人間の視野を右と左に分けた場合、右側の視野に入った情報は左の脳に、逆に、左の視野から飛び込んできたものは右の脳に向かっていきます。

つまり、それぞれの視野の情報はクロスするように反対側の脳だけに情報として伝わるのです。左右の情報は、その間にある脳梁を通じて受け渡しがされるので、右の脳で画像イメージとして処理した情報を、左の脳がそれが何であるのかを分析するという連携により、総合的に「物を見て、何かを認識する」という判断ができるということです。

損傷を受けた場合の左脳と右脳の障害の違い

[右脳]

体の左半分をうまくコントロールできない
視覚、触覚、聴覚のどの感覚を使っても空間や位置関係を理解することができない
地図を正しく見られない
図形を正しく形作って描くことができなくなる
物の形を記憶にとどめることができない
他人の顔の見分けがつかなくなる

[左脳]

体の右半分をうまくコントロールできない
言語を理解する力や言いあらわす力が落ちる
字を読んだり書いたりできなくなる
いろいろな事柄を言葉によって記憶することが難しくなる
具体的な形のないものや、概念的なものの理解が難しくなる
踊りや体操などのような規則性のある体の動きができなくなる(運動がでたらめになる)
手順を踏むべき動作の順番に狂いが生じる

言語能力は左脳が主役

言葉を理解したり、言葉で表現したりする能力においては、断然左脳の働きが重要になります。実は、言葉の能力にかかわる領域は右脳にもなくはないのですが、左脳に比べるとごくわずかなものなので、右脳のその部分だけで言葉をつかさどることは無理です。手で言葉を表現する手話というものも、左脳が機能してこそできることです。

といっても、言葉にかかわるすべてで左脳が主役というわけではありません。漢字のように、そのものに何らかの意味があるような文字を理解するためには、右脳の働きである空間認識の能力が重要になります。

また、左手を動かすのは右脳の力ですが、点字という文字は左手で触れたほうが飲み込みが早くなるという説があるので、右脳とは縁がある文字であるといえます。これは、触覚を使って空間を把握・認識する能力は右脳の方が上であると考えられるからです。

このところ、「右脳を鍛える」という教育が話題になることが多いように思います。右脳は直感的な力やイメージで事物をとらえる働きに深い関係があり、例えば人の表情を読み取ったりする力は右脳にあるものですから、人とのコミュニケーション能力などに深い関係がありそうだといえば、右脳を鍛えるのが正しいと思うのは無理もない話です。

しかし、目で見たり、「何となく」イメージとして把握した情報を、理にかなった形で分析したり、検討したりする能力には左脳が大事です。前頭連合野のワーキングメモリといわれる部分も、その左脳の働きがあってこそ、正しく判断できることを忘れてはなりません。

知能の発達に肝要なのは、どちらかのとび抜けた優秀さではなく、左右の脳のバランス感覚なのですから。

左ききは遺伝とは限らない

子供の左利きの発生頻度というか、確率を御存じでしょうか。母親が左利きの場合、そうでない場合に比べて、子供が左利きになる確率は2倍だそうです。そして、左利きになる人も、男性の方が女性よりも25%多いということです。

しかしそれらの事実は、左利きが遺伝によるものだということを言い切る材料にはなり得ません。脳の構造というものは、右利きでも左利きでも実は余り変わらないというケースが多いのだそうです。

人の利き手というものは、実は母親の胎内で決まるといいます。胎児が指をしゃぶるのは、顔を向けた側の指だそうです。といっても、「いわゆる利き手というものがどのくらいの時期にはっきりしてくるのかわかりません。

結論からいうと、左利きの原因とされる諸説のうち、はっきりコレであると特定できるものは一つもないようです。ただ、外界に生まれた後の成育環境などは影響していると思われます。



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