【テレビの影響】やっぱり成長期の赤ちゃんの脳によくないの?
日米の小児科医学会は「2才までの成長期の赤ちゃんはテレビを控えよう」と呼びかけています。ふだん何気なくつけているテレビ。画面からのかなりの影響力は、なかなか気づきにくいものですが、テレビのない生活をしてみると実感できるようです。
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○無意識の視聴時間は平均6時間!
いまや生活の一部となっている、テレビやビデオ。
ある調査によると、成長期の子ども「小学校高学年から中学校低学年の子どもたち」がテレビやビデオを視聴する時間は、1日平均6時間。その影響で、成長期の子どもたちの運動不足や視力低下などが、今、問題になっています。
2001年にかなり話題になった「ゲーム脳」説。テレビゲームのしすぎは前頭連合野の機能を損なう、キレやすくなるなどと警告したものでした。
また小児科医らの報告では、早期のテレビ視聴により、赤ちゃんの言葉の発達を遅らせるおそれがあるとも。
これらのことから、脳の発達期にある乳幼児に対してもたらすテレビ・ビデオ視聴の影響が、かなり心配されるようになったのです。
それでは、実際に、赤ちゃんはどのくらいテレビやビデオを見ているのでしょうか。
育児雑誌『ベビモ』(主婦の友社)の読者アンケートによると、成長期の赤ちゃんにテレビを見せる時間は平均1時間強。
ですが、テレビをつけたままの部屋に赤ちゃんがいる時間、つまり無意識の視聴時間は、6時間以上にも達しているのです。
福岡市のNPO「子どもとメディア研究所」が2002年に乳幼児1,000人を対象に行った調査によると、子どもが10カ月の家庭では、28%が1日3~6時間テレビをつけています。
8時間以上の家庭も25%と、実に全体の1/4。そうした家庭では赤ちゃんも5時間以上、テレビの前にいたという結果が出ています。また、4カ月児の調査では、母乳やミルクの授乳時にテレビやビデオをつけている母親は7割を超えていました。
このように、赤ちゃんは、自分からテレビやビデオを見たいという意思をもつ前から、大人によって選択肢のないまま見せられている、というのが実態なのです。
○テレビから浴びる過剰な刺激
「テレビやビデオを見せると楽しそうに見ている」「集中しているからよいのでは」また「内容のわからない番組なら成長期の子どもは興味をもたないから、つけていても見ていないはず」問題意識を持たずにテレビを見せているケースでは、こんなふうに思う人が多いようです。
2才以下の場合、テレビやビデオの内容を、きちんと理解する力はまだありません。ただ、赤ちゃんはしょっちゅう動くものが大好き。さらに強い光と音の刺激に、つい目を奪われてしまいます。
ただ、成長期の赤ちゃんはまだ意味がわかっていないので、ときどき飽きて画面から目を離します。ですから、たとえテレビの前にいても、実際に集中しているのは、見ている時間の10~15%という報告もあります。
ですが、常に注目していなくても、まだ自由に動くことのできない赤ちゃんの神経は、どうしても強い刺激のテレビに向かいます。体の自由がきかない状態にしたネコに動く画面を無理やり見せたところ、異常行動を起こしたという実験も報告されています。テレビの前におかれた赤ちゃんも、このネコも、状況は同じということです。
○赤ちゃんのテレビ環境に関する調査 『ベビモ』(主婦の友社読者アンケートから)
赤ちゃんがテレビやビデオを見る時間は年齢とともに増え、1才以上では大人並みの長時間視聴の場合も。なんと2時間以上が30%を超えています。見ているのは主に子ども向け番組や知育ビデオです。
【テレビは1日何時間見ている?】平均1時間15分/1日
・見せていない 13.6%
・15分未満 13.6%
・15分以上30分未満 13.6%
・30分以上1時間未満 22.7%
・1時間以上2時間未満 13.6%
・2時間以上 22.9%
0~5カ月
・見せていない 約18.3%
・15分くらい 約32.4%
・1時間くらい 約49.3%
6~11カ月
・見せていない 約1.5%
・15分くらい 約32.4%
・1時間くらい 約38.9%
・2時間以上 約27.2%
1才以上
・見せていない 約1.5%
・15分くらい 約27.5%
・1時間くらい 約40%
・2時間以上 約30.9%
【テレビがついている部屋に赤ちゃんがいる時間】
平均6時間33分/1日
特に見たい番組があるわけではなくても、テレビは常についたまま、という家庭がたくさんあります。平均は1日の約1/4にも。赤ちゃんが起きている時間のほとんどは、テレビのモニター画面から出る音と光の刺激を受けているということになります。
【赤ちゃんにテレビを見せているとき、お母さんはどうしてる?】
・語りかける、いっしょに歌ったり、踊る 48.2%
・家事をすます 約31%
・その他 約20.8%
お母さんの約半数は、一緒にそばにいてテレビを見ながらコミュニケーションをとっています。ただし、テレビを見せている間に食事をすませたり、お母さんがくつろぐ時間にしている「テレビまかせ育児」も決して少なくはありません。
こういった仕掛け絵本などで、子どもに「読書」の楽しさを教えてあげるのも親の役目だと思います。
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